地域づくり表彰で最高賞 東彼杵「ひとこともの公社」 UIターン者起業支援を評価

地域づくり表彰で大臣賞を受けた「東彼杵ひとこともの公社」のメンバーら=東彼杵町瀬戸郷、ソリッソリッソ

 国土交通省は19日、本年度の地域づくり表彰の結果を発表した。国土交通大臣賞には、長崎県東彼東彼杵町千綿地区の一般社団法人「東彼杵ひとこともの公社」など2団体を選んだ。同公社は古い米倉庫を改装した集合型店舗を交流拠点として活用。地区外から人を呼び込み、UIターン者の起業や雇用創出につなげたのが評価された。県内団体の最高賞獲得は1998年以来4例目。
 UIターン者でつくる同公社の代表理事、森一峻(かずたか)さん(38)は2015年、倉庫を改装した交流拠点「Sorriso riso(ソリッソリッソ)」を開設。UIターン者の試験出店場所としても提供した。同公社は17年に発足。地域のひと・こと・ものを発信するウェブサイト「くじらの髭(ひげ)」を立ち上げ、22年には九州電力と共同で第2の拠点「uminoわ(ウミノワ)」をオープン。これまでに20件以上の店舗開業をサポートした。
 受賞理由によると、かつて鯨肉の集積地として栄えた東彼杵町が「通り過ぎるだけの町」になったとして、危機感を持ったUIターン者が協力。「ここで仕事をしたい、自分も何かに挑戦したい」と思わせる仕掛けをつくった。UIターン者の生計確保だけではなく、若者の町外流出防止にもつなげている。
 森さんは「私たちのチームは茶生産者やデザイナー、自動車屋、世界中を旅した農家など職種、経験がさまざま。いろんな価値観や視点を持つ人が集まったからこそ、移住者のサポートやコミュニティーを盛り上げることができた」と振り返った。
 同表彰は、地域間連携や交流を生かしたまちづくりの優良事例を顕彰し、今年で39回目。本県からは1986年に旧西彼大島町、90年に旧西彼伊王島町、98年に「厳原港まつり対馬アリラン祭振興会」が最高賞を獲得した。


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